この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第13章 別れは劇的ならずとも
俺はややためらってから、こんなことを口にしている。
「俺と、ずっと一緒にいてくれ――なんて、もし言われたとしたら」
「……!」
その時、真は恨めしそうに、俺を睨みつけた。
「オジサン、ズルいよ……」
「どうして?」
「その言い方が、ズルいの。決めつけないで、ホントにそう思うなら――ちゃんと、言ってくれればいいじゃん」
「言わないよ。言える訳がないだろ」
「それが本心じゃ、ないから?」
「違う――」
俺は目を閉じ、また頭を掻き、そして目を開き、真を見据えて――言う。
「さっきも、言ったろ。お前を、困らせたくないんだ」
見つめ合った、その瞳が静かに潤む。今にも滴を零しそうなそれを、真はまた背中で隠し――。
「やっぱ……ズルいよ」
と、呟く。