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ホントの唄(仮題)
第14章 エピローグ

「さて……午後も忙しくなるな」


 社長とはいったものの、その業務内容は殆ど『ナンデモ屋』である。営業で外回りもしなければならないし、生産に遅れがあれば夜遅くまで工場に詰めなければならなかったり。その他、日々生じるあらゆる雑用の多くは俺の仕事だった。

 まあ、忙しくやらせてもらってるのなら、それは何よりであり。お蔭様で今の処、当社は順調に業績を伸ばしつつあった。

 あと――これは全くの余談ではあるのだが、一応の報告まで。

 俺が起業したことを、面白く感じなかった連中がいたようで。それは取りも直さず、俺たちが辞めた会社の上層部だ。当初は「せいぜいやってろ」といった感じで様子見を決め込んでいたが、業績が上向いてきた頃には心穏やかとはいかなかったらしく。


「ウチのノウハウを、勝手に使用されては困りますねぇ」


 そんなクレームを言いに来たのが、よりによってあの太田だったのだから、俺としても驚きだ。

 当然ながら「勝手に見限っておいて、今更いう?」という、当方には絶対的な言い分がある。それ故に、相手にするのも馬鹿らしく。逆に「お前、よくここに顔出せたな」と、軽く感心してしまったくらいだ。

 案の定、怒り心頭の斎藤さんたちに激しく詰め寄られた太田は、逃げ出すようにして帰って行き、それ以来、あのイヤミな面を見せることはなかった。

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