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ホントの唄(仮題)
第2章 緊急モラトリアム
その取り留めなき告白に際し、真は――
「アハハハ!」
何が面白いというのか、大口を開き高らかに笑った。
「なにか、可笑しいのか?」
流石にムッとした俺に、真なりに取り繕おうとしたのか、こんなことを言い出す。
「フフ……ううん、違うよ。オジサンのこと、笑ったんじゃないんだ。私ねー、いいこと思いついちゃって、さ」
いいこと、だと……?
その言葉に一抹の不安は、禁じ得ない。だが俺はとりあえず、真の言い分を黙って聞いてやることにした。
「私は今、時間が必要なの。簡単に言えば、自分を見つめ直す時間かな」
時間――ときたか。如何にも芸能人が口にしそうなフレーズだが……。
「その意味では、私たちって似た者同士ってやつ? オジサンも無職じゃ、時間を持て余すだろうし……」
持て余すつもりは、ねーよ。あと、人気若手歌手と無職四十男の、何処に共通点を見出した……?
「そんなわけで、さ――」
どんなわけだよ?
そろそろ脳内でのツッコみに、限界を感じ始めた時。
真はニッコリと笑うと、とんでもない提案をしたのである。
「暫くの間、この部屋で――私と一緒に、暮らしてみない?」