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ホントの唄(仮題)
第2章 緊急モラトリアム
「ち、違うわっ! 寧ろ、絶倫のビンビンで、逆に困ってるくらいだぞ!」
明らかにキレ方を間違えたことを、俺は直後に後悔している。
しかし――
「ええっ、怪しいなあ……」
真に疑わしげな視線を向けられると、俺はそのまま意固地を貫く姿勢を取った。
「な、なんでだよ? 別に見え張って、言ってるわけじゃねえからな」
俺の『ED疑惑』など、今はどうでもいい話なのだが。実際違うのだから、それはキチンと否定しておく必要に迫られた。
だけど「絶倫でビンビン」は、言い過ぎである。
「だったら、どうして抱かなかったの。私ってさあ。かなり魅力的な身体してるって、思ってるんだけど?」
そう言いながら、胸を張り腰に手を当てる真。形の良い胸と、くびれた腰を強調している。彼女の言うことに、些かの反論の余地もなかった。
が、それにしてもよく自分で言えたもんだな、オイ……。
抱くだの抱かないだのとの、あられもなき会話の内容に反して。俺には真のことが、やたらと無邪気に感じられている。