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ホントの唄(仮題)
第2章 緊急モラトリアム
そう感じたことで若干、俺は心の余裕を取り戻していった。
所詮、相手はガキなのである。くれぐれも俺の方が、ムキになるような処を見せてはならないのだ。
「バーカ。そこらで拾ってきた女なんか、おいそれと抱くかよ」
俺はそう言って、口元にニヒルな笑みを浮かべる。
見たか。これぞ内面にゆとりを宿した、大人の姿というもの。それを思い知らせんばかり――だったのであるが。
「ああ、なんだ。つまり、カッコつけちゃってるのね。男も中年になると、素直に生きられなくなるだなんて、とても哀れだわ。言っておくけど、オジサンにこんなチャンス、二度とないかもしれないんだよ」
ピキピキッ!
一度鎮めた血の気が、再び俺の頭部へと逆流していた。
今すぐ、この部屋から叩き出してやる!
俺は猛然と立ち上がり、のんびりと胡坐をかいている真の手首を掴み取った。