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ホントの唄(仮題)
第2章 緊急モラトリアム
すると、その瞬間。
「あん、わかったからぁ。そんなに慌てないで」
真は軽く俺の手を振り払い、妙に色っぽい声を奏でた。
一体、何をわかってくれたというのだろう。否、この感じだと、きっと。俺の気持ちなんて、ビタ一文理解されていない筈だ。
そして俺のその予想は、より悪い形で当たってしまう。
「な……なにしてる、のっ?」
パサッ――。
真は徐に脱ぎ去ったタンクトップを床に落とした。更には、すっかり凍りついている俺をよそに、いそいそと下ろしたショートデニムを細い足首から抜く。
「さあ、どうぞ」
上下の下着は刺激的というよりも、ピッチリとして動きやすそうなタイプ。それだけを身につけた姿の真は、まるで岩場に佇む人魚姫のようにしな垂れたポーズを取った。
最早、気のせいでは済むまい。彼女はどうあっても、この部屋に居候する腹積もりである。
「……」
俺の喉が、唾を飲み下しゴクッと鳴った。
真は目的の為に、自分の身体を差し出すことすら、厭おうとはしない。