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ホントの唄(仮題)
第2章 緊急モラトリアム

四十にして惑わず――とは、その昔の誰の言葉であったろう。
キュキュッ――シャアアアー!
すなわちこの俺、新井裕司――四十歳(無職)も不惑の年である。
フフン、フンフンフーン――♪
しかしながら、現実は――
バスルームから洩れ聴こえる、シャワーの音とご機嫌な鼻歌を耳にすると――
――俺は大いに、惑わされてしまうのであった。
「……」
この状況に陥るまでの、会話の流れをあまりよく記憶していない。
何故、真は今シャワーを浴びているのか。単に汗を流す為、若しくは――
「俺に抱かれるため……だったり?」
思わず口にしていた疑問が、また俺を惑わすのであった。

