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ホントの唄(仮題)
第3章 異常な日常の場面で

 大して交通量の多い道でもないのに、こんな時に限って車が連なり俺の行く手を阻んでいた。


 そうしてる間にも、真を気にかけた男は徐々に距離を狭め、どうやら声をかけようとしている。二十後半くらいか、やや小太りの地味な雰囲気の男だった。


「くっ……」


 車通りの切れ目を待って、ようやく俺は道を横断。すると――


「あ、あのさ――ちょっとだけ、こっち向いてくれないかな」


「――!」


 そう声をかけられた真の、肩がビクッと竦んでいたのがわかった。


「違ったら、ゴメンよ。でも、もしかしたらって思ったんだ。テレビとかツイッターで、この辺りに来てるって情報があったから……」


 男は真の背中に手を伸ばしながら、それを訊ねる。



「キミ――らのチンじゃあ、ないの?」

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