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ホントの唄(仮題)
第3章 異常な日常の場面で

 近くの駐車場に停めてあった車に乗り込むと、その助手席に真を乗せ俺は車を出した。そのまま少し走り道幅の広い国道の道路に出ると、それまで緊張気味に口を噤んでいた真が話し始めた。


「バレちゃってたね」


「そうだな」


「あの人、私のファンだったのかな?」


「さあ……単なる興味本位にも見えたが、俺には何とも言い難いな」


「そっか……」


「……」


 そんな会話の後、俺はチラリと真の横顔を窺う。窓から外の風景を眺める彼女は、何処か物憂げに映っていた。

 きっと彼女は、十分に自覚している。人気稼業である以上、ファンという存在は何にも代え難い大きな支えであり。

 そして自分は今、そんな彼らを裏切っているのだという事実を……。
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