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ホントの唄(仮題)
第3章 異常な日常の場面で

    ※    ※


 その後、スーパーにて主に食料の買い物を済ませ、俺たちは部屋に戻った。

 これから先は、暫く自炊にて食事を賄うことが肝要。なるべく真を外出させないとの意図もあるが、それ以前に俺の懐事情を考えてのことだ。

 もちろんこの俺にだって、それなりの蓄えくらいはある。が、備蓄が減る一方の生活というのは、精神的に健全とはいかない。抑えられる出費は、できる限り抑えておきたいのが本音だった。



「ああっ、シャンプー買うの忘れてる……」


 大きなレジ袋を覗き込みながら、急に真は嘆くように言う。


「シャンプーなら、まだ――」


 あった筈だが、と俺が顔を向けるが。


「だって、オジサンが使ってるのって、薄毛の人用のヤツでしょ? 薬用だから、地肌はやたらスキッとはするけど……」


 と、真は随分と失礼な不平を漏らした。


「別に、薄毛専用じゃねーよ!」



 確かに育毛に気を使い始めた、今日この頃ではあるが……。

 四十の夏――俺の頭髪は、まだまだ健在である。

 
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