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ホントの唄(仮題)
第3章 異常な日常の場面で

「おかわり!」


「ああ、ハイハイ……」


 元気な発声と共に差し出されたカレー皿を受け取ると、俺はキッチンに立ち炊飯器を開く。


 あれ、確か……四合、炊いていた気がしますけどねぇ?


 皿を米で満たすと、見事に空となる内釜。その底を見つめつつ、俺は内心おどけてみるのだった。まあ、それも今更か……。


「ほら、これで打ち止めだぞ」


「うん。十分だよ」


 真は皿を受け取ると、またスプーンでカチャカチャと音を鳴らし、カレーをせっせと口に運んでゆく。

 そりゃあ、あれだけ食えば十分だろうよ。そうでなければ、俺の破産もそう遠い日ではあるまい……。


「……」


 もうとっくに腹を満たした俺は、楽しげな真の食事風景を見つめた。不思議と嫌な気はしない。寧ろそれは、ちょっとした快感のようにも思えていた。


 それは旺盛な子供の食欲を嬉しく思う、お母さんの気持ち――とは当然、異なり。


「なんでだろう、ね?」


 口一杯に頬張った顔で疑問を発した真が、期せずして俺にその答えを教える。


「ん……なにがだ?」


「オジサンと食べると、ありきたりな物でも――とても美味しく感じるの」


「ありきたりで、悪かったな……」


 と、悪態をつきながらも。


 一方で俺は、真に孤独を癒され始めているのだと――そう気づいていた。

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