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another storys
第12章 Restart【Cross roads】
「…響子…響子…響子ぉぉぉ…‼︎」
病室のベッドの上。
酸素マスクを着けたままの顔は痩せこけて、出会った頃の面影はどこにもない。
ベッドの横の心電図モニターは、ピッ…ピッ…と、弱いながらも脈動を続けている。でも、握る手には力もなく、くったりとしている。
…もう意識は戻らないだろう。
どのくらい経ったのか。
ピー…………
という音と共に、モニターの波形が消え、1本の線になる。
担当医が小さなライトで瞳孔を確認し、日付と、時間を告げると、看護師がそれをカルテに書き取る。
「奥様は、十分頑張りました。」
担当医が、他に言いようがない、という感じでポツリと呟く。
俺はベッドサイドで立ち尽くしたまま、腕の中の赤ん坊を抱きしめる。脚から力が抜けて、立っているのがやっとだった。辛うじて立っていたのは、娘を抱いていたからだ。そうでなければ崩折れていただろう。
腕の中でさっきまでスヤスヤと眠っていた娘は、俺の声と抱きしめる力に驚いて「あぁーん」と泣き出した。
娘を抱きしめながら、俺の頰にも涙が伝う。
あの日。
この子を産むと決めた時から、いつかはこの日が来ると、わかっていたのに…
病室のベッドの上。
酸素マスクを着けたままの顔は痩せこけて、出会った頃の面影はどこにもない。
ベッドの横の心電図モニターは、ピッ…ピッ…と、弱いながらも脈動を続けている。でも、握る手には力もなく、くったりとしている。
…もう意識は戻らないだろう。
どのくらい経ったのか。
ピー…………
という音と共に、モニターの波形が消え、1本の線になる。
担当医が小さなライトで瞳孔を確認し、日付と、時間を告げると、看護師がそれをカルテに書き取る。
「奥様は、十分頑張りました。」
担当医が、他に言いようがない、という感じでポツリと呟く。
俺はベッドサイドで立ち尽くしたまま、腕の中の赤ん坊を抱きしめる。脚から力が抜けて、立っているのがやっとだった。辛うじて立っていたのは、娘を抱いていたからだ。そうでなければ崩折れていただろう。
腕の中でさっきまでスヤスヤと眠っていた娘は、俺の声と抱きしめる力に驚いて「あぁーん」と泣き出した。
娘を抱きしめながら、俺の頰にも涙が伝う。
あの日。
この子を産むと決めた時から、いつかはこの日が来ると、わかっていたのに…