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another storys
第17章 四方山話【潮騒】
郁男がもうじき三十になる、という頃。
いきなり連絡が来た。しかもその数年振りの連絡が、まだ独り身なら結婚しようという内容で、郁男は面食らって言葉もなかった。
「もう言うてる間に三十になんのに結婚してないのは恥ずかしいって、お父ちゃんが煩いねん。そやけど私結婚興味ないし。でも相手が居らんかったら勝手にお見合いで決められてしまうから、郁男さんなら知らん人よりかはええわ。」
そんな理由で?大丈夫かこの女…
郁男は見合いの相手もお互い悪くない状況だったが、なんとなくその押しに圧倒されて承諾してしまった。
「自衛官は、転勤も多いし、俺は通信職やから、船に乗ったり、訓練の時は何ヶ月も帰らん。それでもええんか?」
「ええよ。私西宮から出たことないから、色んなとこ行くの楽しそう。郁男さんが長い事留守すんのに、暇んなったら実家に帰るわ。」
そのサバサバしたものいいにまぁ、ええか、と笑ってしまった。
そうして郁男は結婚した。
今年金婚式を迎えるが、未だに結婚記念日は式を挙げた日か籍を入れた日か意見が分かれて揉める。
郁男は籍を入れた日が法的に夫婦と認められた日だと言い張り、妻は親や親戚に結婚しましたと発表した日だから結婚式の日だと譲らない。
そして子供には、どっちでもええから統一しいや、と、ため息をつかれるのだ。
いきなり連絡が来た。しかもその数年振りの連絡が、まだ独り身なら結婚しようという内容で、郁男は面食らって言葉もなかった。
「もう言うてる間に三十になんのに結婚してないのは恥ずかしいって、お父ちゃんが煩いねん。そやけど私結婚興味ないし。でも相手が居らんかったら勝手にお見合いで決められてしまうから、郁男さんなら知らん人よりかはええわ。」
そんな理由で?大丈夫かこの女…
郁男は見合いの相手もお互い悪くない状況だったが、なんとなくその押しに圧倒されて承諾してしまった。
「自衛官は、転勤も多いし、俺は通信職やから、船に乗ったり、訓練の時は何ヶ月も帰らん。それでもええんか?」
「ええよ。私西宮から出たことないから、色んなとこ行くの楽しそう。郁男さんが長い事留守すんのに、暇んなったら実家に帰るわ。」
そのサバサバしたものいいにまぁ、ええか、と笑ってしまった。
そうして郁男は結婚した。
今年金婚式を迎えるが、未だに結婚記念日は式を挙げた日か籍を入れた日か意見が分かれて揉める。
郁男は籍を入れた日が法的に夫婦と認められた日だと言い張り、妻は親や親戚に結婚しましたと発表した日だから結婚式の日だと譲らない。
そして子供には、どっちでもええから統一しいや、と、ため息をつかれるのだ。