この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
another storys
第17章 四方山話【潮騒】
「うん。笑うとった。昔みたいに、庭に座って草むしりしながらな、俺が無理すんな、腰痛なるぞ、って声かけたら、大丈夫や、どっこも痛いことない、結構なこっちゃ!ありがたいなぁ!って言うてなぁ…あんなお袋の笑顔見たの何年振りやろか…なんか、夢でもこれまでしんどかったんが、報われたわ…」
敬三の言葉に、あき子は思わず羨望の溜息を吐く。
えぇなぁ、敬三さん…おばあちゃんにとっては、私は最後まで他人やったんやろうか…
「…私のトコには、来てくれんかったわ…」
肩を落とすあき子に、敬三は笑って、
「あき子さんにはようしてもろうたからなぁ…ま、思い残すことなし、言うことなし!って、ことや、きっとな。」
「そうやろうか…」
「そうや!絶対。なぁ、兄貴は観たと思う?」
「どうやろか?聞いてみようか」
そこに、郁男が起きてくる。
こちらから聞く前に、
「お袋の夢見たわ…」
と呟いた。
あき子と敬三は、顔を見合わせる。
「なんか言われたか?」
敬三がニヤニヤしながら尋ねると、郁男は首を捻りながら、
「ようわからん。なんか小言言うとったのはわかったけど、なんて言うてるんかははっきり聞こえんかった。とにかく怒っとった。死んでまで小言なんか言わんでえぇのになぁ」
あき子と敬三は、思わずプッと噴き出す。
「兄貴に仰山文句言わなあかんかったから、あき子さんトコに来る間なかったんやで、きっと。」
敬三が、くっくっと笑いを噛み殺しながら、郁男に聞こえないように小さな声であき子に呟く。あき子は声を出して笑った。
笑う二人に、郁男だけが釈然としない表情で、椅子に座り、「飯は?」と聞く。
あき子はいつものように皿を並べた。
ー了ー
敬三の言葉に、あき子は思わず羨望の溜息を吐く。
えぇなぁ、敬三さん…おばあちゃんにとっては、私は最後まで他人やったんやろうか…
「…私のトコには、来てくれんかったわ…」
肩を落とすあき子に、敬三は笑って、
「あき子さんにはようしてもろうたからなぁ…ま、思い残すことなし、言うことなし!って、ことや、きっとな。」
「そうやろうか…」
「そうや!絶対。なぁ、兄貴は観たと思う?」
「どうやろか?聞いてみようか」
そこに、郁男が起きてくる。
こちらから聞く前に、
「お袋の夢見たわ…」
と呟いた。
あき子と敬三は、顔を見合わせる。
「なんか言われたか?」
敬三がニヤニヤしながら尋ねると、郁男は首を捻りながら、
「ようわからん。なんか小言言うとったのはわかったけど、なんて言うてるんかははっきり聞こえんかった。とにかく怒っとった。死んでまで小言なんか言わんでえぇのになぁ」
あき子と敬三は、思わずプッと噴き出す。
「兄貴に仰山文句言わなあかんかったから、あき子さんトコに来る間なかったんやで、きっと。」
敬三が、くっくっと笑いを噛み殺しながら、郁男に聞こえないように小さな声であき子に呟く。あき子は声を出して笑った。
笑う二人に、郁男だけが釈然としない表情で、椅子に座り、「飯は?」と聞く。
あき子はいつものように皿を並べた。
ー了ー