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another storys
第24章 かわいいひと【Cross roads】
「趣味は言い過ぎじゃない 、紗栄子さん。私は一所懸命やってるよ?今回はキミが楽しかっただけだろ?あんな嬉しそうにパターン取ってるキミ見たの久しぶりだよ…」
「だぁってぇ…こんな丈の長いトラウザーズもう仕立てることないわよ!? 絶対。」
「そりゃそうかもしれないけど…」
「あ、あの。結局お支払は…」
「あぁ、ごめんね。それはこの人の言う通り、3万円でいいよ。娘の彼氏のスーツを仕立てるなんて、男親としては少し面白くない仕事だったけど。でも、ホントに楽しそうな家族の笑顔が見られた仕事でもあったしね。先程彼女が言ったように、若い人にオーダーという買い方もある、と選択肢に加えてもらえるだけでも意義はあったと思うから。」
「靴とかの小物は美佳からのプレゼントだから 。」
お母さんが人差し指を立ててニコッと笑った。美佳ちゃんによく似た笑顔だった。
「え?」
慌てて美佳ちゃんを振り返る。
「もうすぐ、隆行くんの誕生日でしょ? 何にしようか悩んでたから、こんなのでもいいかなぁって…」
「えっと、小物ってどこまで…」
「靴と、タイとチーフとブレイシーズ。」
「そんなに!? 悪いよ美佳ちゃん…」
ブレイシーズというのが何かわからなかったけど、消去法で行くと多分サスペンダーのことだと思った。
「だぁってぇ…こんな丈の長いトラウザーズもう仕立てることないわよ!? 絶対。」
「そりゃそうかもしれないけど…」
「あ、あの。結局お支払は…」
「あぁ、ごめんね。それはこの人の言う通り、3万円でいいよ。娘の彼氏のスーツを仕立てるなんて、男親としては少し面白くない仕事だったけど。でも、ホントに楽しそうな家族の笑顔が見られた仕事でもあったしね。先程彼女が言ったように、若い人にオーダーという買い方もある、と選択肢に加えてもらえるだけでも意義はあったと思うから。」
「靴とかの小物は美佳からのプレゼントだから 。」
お母さんが人差し指を立ててニコッと笑った。美佳ちゃんによく似た笑顔だった。
「え?」
慌てて美佳ちゃんを振り返る。
「もうすぐ、隆行くんの誕生日でしょ? 何にしようか悩んでたから、こんなのでもいいかなぁって…」
「えっと、小物ってどこまで…」
「靴と、タイとチーフとブレイシーズ。」
「そんなに!? 悪いよ美佳ちゃん…」
ブレイシーズというのが何かわからなかったけど、消去法で行くと多分サスペンダーのことだと思った。