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another storys
第24章 かわいいひと【Cross roads】
ヒールを履いてるとは言っても、私と隆行くんの身長差は20㎝くらいあって。
その隆行くんが私を見下ろしながら、ぽつりと呟く。
その顔は、本当に寂しそうで。
エッチな意味じゃなく、本当に1人で帰るのが寂しいんだな、って思えた。

隆行くんは時々、そういう寂しさを覗かせる。
子供がお母さんに甘えたがるみたいな、純粋な寂しさ。
それが、子供の頃、思う存分お母さんに甘えられなかった反動なのかはわからないけど。

普段は凛々しくて、カッコよくて、堂々としてるのに、不意に覗かせる子供みたいな表情は、とても可愛くて。
私だけに見せる貌だと思うと、ちょっと嬉しくなる。
母性本能をくすぐられるっていうか。

「…いいよ。隆行くんの部屋…?」

「…今日は、ホテル行こう?」

ぐっと私の手を握って、駅と反対の方向に歩き出した。
私はお母さんに、二次会のが盛り上がったからそのまま会社の先輩のところに泊めてもらうことになった、とメールした。

両親は、隆行くんとのお付き合いも公認だし、私も26だから、正直に言っても怒られないかもしれないけど、メールでも、電話でも、改まって彼氏と外泊して帰りますとは、堂々とは言いにくい。だから、そこは、いつもちょっとだけ濁す。
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