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第4章 化猫奇譚【陽炎】
「血を乾かさずに保つ…なぁ…量はどの程度要る?」

「柄杓に一杯も要らねぇ。」

「…胃の腑を使うたらどうじゃ。捌く時に胃の腑を破らんように取り出して口を紐ででも縛ってしまえば丈夫な袋ができるでの。それに漏斗か何かで入れておけばいいのと違うか?そうやって水を持ち歩く山の民もおるとか。」

「腐らないかな?」

「今の時節ならすぐには腐らんだろうが、正確な処理方法までは儂も知らん。どのくらい保たしたい?」

「…毛皮が手に入ってから四、五日…」

「…あのさ、胃の腑を破らずに取り出すなんてしたことないから、そう上手く日が整うと思わないんだけど…」

「まぁ、一番確実なのは毛皮とは別の血を使うかじゃな。鳥でも何でも構わんが、罠にでもかけて生かしておけ。当日に締めて抜いた血を竹筒にでも詰めるがよかろう。」

「まぁ…それならできると思うけど…何をするの?」

「さぁな。」

兵衛が肩をすくめる。

「ちょっとね…化け猫のタタリにあわせてやろうかと思って。」

鷺がニヤリと笑った。
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