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第4章 化猫奇譚【陽炎】
「兎の皮って、どうする?」

「綺麗なのは細工物屋に売るよ。」

「この猫みたいな色の兎は獲れるか?」

「この猫…って、白い兎、ってこと?」

「一匹まるまるでなくてもいい、…そうさな、こんくらい白っぽいのが取れりゃ十分だ。傷があっても構わねぇ。毛並も不揃いでも大丈夫だ。」

鷺は、指を閉じて揃えた両手を並べて前に突き出した。

「えっと、大人の手二つ分くらいの大きさの白っぽい毛皮を用意しろってこと?繋がってなくてもいいの?」

鷺が頷き、再び手を出す。

「この大きさが二枚だ。」

「兎は耳の先以外白いから、まぁ、そのくらいの大きさなら大丈夫だけど…」

「じゃ、それを頼む。あと血も欲しい。」

「血? 兎の?」

「あぁ。」

鷺の求めるところが解らず、八尋は混乱するばかりだった。

「なぁ、兵衛…血を、できるだけそのまま保つにはどうしたらいいと思う?
流れた血って時が経つと乾くし臭うだろ?」
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