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第5章 僕の夏休み【パズルⅡ・運命の恋人】
すぐに龍沢さんが来て、子供たちはお父さ〜ん、と駆け寄っていく。

「折角の休みを3日も使って申し訳なかったね、埋め合わせと言ってはなんだけど、美味い日本酒のセレクト、送っといたからまた飲んで。」

「ホントですか?それ嬉しいな。龍沢さんは今回何のお仕事だったんですか?」

「あぁ、造酒の装置がもう古いから、お義父さんと相談して去年新しくしたんだ。それで今までよりロスが減って生産量が上がったし、装置の減価償却も兼ねて販路を拡大しようと思ってね。展示会に出展してたんだよ。そこで全国のいろんな酒造メーカーさんとも顔つなぎが出来て、話もできたし、いい機会だった。俺が呑んで美味いと思ったの、何本か買って送ったんだ。」

「へぇ、ありがとうございます。じゃ、東京でもどんどん龍紅葉が呑める店が増えますね。」

「それを目標にしてるよ。じゃ、ホントにどうもありがとう!」

爽やかな笑顔を残して、龍沢さんと子供たちは帰って行った。
僕が家に居た頃は、ホントに職人さん、て感じの人だったけど、今日会った龍沢さんは立派な経営者の顔をしていた。
疲れたけど、やっと終わった、という解放感と、龍沢さんの日本酒セレクトは期待してなかっただけに予想外のご褒美だった。
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