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淳、光と闇
第34章 看護の心

ある日、詰所では正の病状について
医師が
「正君の癌は進行を止められない。
後2か月か…」
そう告げた。
京子は担当として正の病状を聞いて
「先生!正君を、
正君を、助けて!お願い…」
といきなり医師に泣きついた。
「京子ちゃん!!」
さゆりが京子を叱る。
「看護に私情を挟んではいけません!!」
「でも…」
「口応えしない!!」
ぴしゃりと京子を黙らせた。
「はい…」
この頃になると京子は正とすっかり
打ち解け今ではカップルと間違われる
位まで仲良くなっている。
それ故に正の病状が心配でならない。
「正君…」
ある日、京子は正に
「ねぇ、明日、
正君のお誕生日でしょう?
何が欲しい?」
正はじっと京子を見た。
「ん?」
「俺、京子ちゃんが欲しい…」
「正君…」
「俺、後三か月くらいだ。
生きていられるのは。
だから生きた証が欲しい…」
「正君…」
「京子ちゃんはこんな俺でも
懸命に看護をしてくれた。
他の看護師とは違う…
だから俺、今だけ真面目に言う。
京子ちゃんが欲しい…」
真剣な表情で京子を見る正。

