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淳、光と闇
第34章 看護の心

「私ね…看護師になりたてのころ…
担当の患者さんが言う事聞いて
くれなくて。
どうして?って聞いたことがあるの。
そしたらその患者さんは
私が好きになったからって…
どうしたら言う事
聞いてくれるのって聞いたら
私が欲しい、私を抱けたら
言う事を聞くって。
私、一度だけ病棟で患者さんに
抱かれた。
そしたら妊娠して
婦長は私におろせって言ったけど
私…どうしても出来なくて
子供を産んだ。
そしたら婦長は私に
「貴方は看護師として失格よ。
子供を離しなさい。」
そう言ったの。
私、結局子供を選んだ。
彼はその後病気が治らなくて
死んでしまったわ。
病院を首になって
私は途方に暮れた。
この世界は繋がりが強いから
患者とみだらな行為をした私を
受け入れてくれる所はなかった。
私、生きていく為に
子供を捨てた。
悲しかった。
子供に申し訳ないと思った。
ずっと会ってないけど
今はもう小学生かしら?
健先生にも話したわ。
先生は黙って聞いてくれた。
私その頃やけになって
子供を捨てた最低の母親。
親の資格も看護師の資格もない。
自分を責めた。
呪って何回自殺しようと思ったか…
でも出来なかった。
自殺を考えるたびに子供の顔が浮かんだ…
そして私決めたの…
看護師として鬼となって
自分が歩いてきた間違った道に
後輩が迷いこまないようにと。
私、必死になって就職先を
看護師として雇ってくれる所を探した。
そんな時さゆり婦長と出会って
私、婦長にすべてを話した。
婦長は黙って私を抱きしめて
「貴方はまだ若いから
やり直しは効きますよ。
だからあきらめないで…」

