この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
淳、光と闇
第35章 親子の絆

「ここは?
このお墓は?」
「ここはね、旦那様の
御子息様御夫婦と
その御子息様…
つまり旦那様のお孫さんの
お墓です。」
「あ。」
淳は以前省吾の孫の話を
少しだけ聞いた事があった。
省吾は線香を点して墓の前に
手を合わせる。
淳と由美も墓前にて手を合わせた。
「淳ちゃん、何故今日と
言う日に淳ちゃんに
無理を言って来て貰ったか。
それは今日はわしの息子夫婦と
孫の命日じゃからだよ。」
「え?今日が御命日?」
「そうじゃ…
息子夫婦と孫を今日と言う日に
交通事故で失ってしまった。
そしてわしには由美君が残った。」
省吾は墓前に供物を供えて
「わしと由美君の関係と秘密。
今日と言う日に淳ちゃんにも
知って欲しくてな。」
由美が使用人にお茶の用意を命じた。
敷物が敷かれテーブルと椅子が用意されて
紅茶の準備が整った。
「さぁ、淳ちゃん、
お茶にしようかの。」
綺麗な色の紅茶が淳に出された。
「旦那様、頂きます。」
淳は紅茶を飲んだが…
「淳ちゃんは紅茶は?」
「はい、嗜む程度ですが
好きな飲み物で御座います。」
「そうか、では分るかのぅ?」
「はい。この紅茶はセイロンで
御座いますね?
しかし、純粋なセイロンでは御座いません。
何故でしょう?」
首をかしげながら淳は省吾に尋ねた。

