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淳、光と闇
第35章 親子の絆

省吾の息子の妻の妹を省吾は
若い頃一度だけ抱いたのだ。
そしてその娘は妊娠した。
娘はどうしても省吾の子供を
欲しがり出産した。
つまり省吾には事故で失った息子の
他に二人の子供がいる事になる。
その子供は双子で女の子。
22年前の話だ。
その時の省吾はめきめきと頭角を
現して血気盛んな時代だった。
そして息子の嫁の妹に産ませた
双子を省吾は邪魔に思った。
双子の母はそれを知って
省吾の下を去ることを決意して
その日に省吾に双子を差し出して
「どうか、この子達を…
旦那様のお子様として認めて下さい。
私はどうなっても良いのですが
娘が不憫で…どうか…お慈悲を…」
しかし、若き日の省吾は正妻以外は
妻と認めなかった。
失った後は後妻を正妻と同じく
大切にしたがその双子の母だけは
省吾は見向きもしなかった。
省吾は双子を…
使用人に捨てる様に命じた。
その使用人は双子を不憫に想い
ある大病院の院長の自宅前に
置き去りにしたと言う。
院長は子供に恵まれず捨てられていた
双子を見て神様からの贈り物と
たいそう喜んで自分の子として
大切に育てた。
その双子はやがて看護師になり
院長の経営する大病院を
代表する看護師になった。

