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《愛撫の先に…》
第7章 《感情のおもむくままに…》
バスルームから部屋へ、
菜々美は彼の青いTシャツ・結城は黒いバスローブでソファーに向かい合わせに座る。

『宿泊客じゃないから君はこの部屋のベッドで寝るといい』

予言で使われているベッド!?
何人もの女の人を抱いた場所で1人きりで眠るなんて嫌…

『結城さんあたし帰ります』
『何故?』
『このベッドは…』
『わかりました、
バスローブで運転する訳にいかないから着替えるまで待って――』
『あたしタクシーで帰ります』

『先ほどの街中での事といい君はなんて頑ななんだ?人の親切くらい素直に受けたらどうですか?』

『あたしスイートタイムに泊まってみてわかったの、結城さんの生活を知ると前みたいにマンションへ送ってもらう事が申し訳なく思えて』

『だから?』

『結城さんは仕事に予言に休む暇等ない、
だからあたしは遠慮して…』

『菜々美さん……』

立った結城は菜々美をじっと見つめた。

『どんなに遅くなろうとも送る事を普通に思う女であふれている今どきに?
思いやり?
大嫌いだと言っていた頃からずいぶん心境の変化があったもんだね』

心境の変化…
結城さんを好きだと気がついたから…

『忙しい結城さんの事を思ってあたしは…』

『だったら泊まっていけばいい』

『予言をしているベッドに1人きりなんて嫌…』

『予言なしで俺もこのベッドに添い寝という事?』

『………ん』
うつ向く菜々美は赤い顔。
『君は滞在中に俺のベッドで眠っていたのに何故今さら照れる必要があるんです?』

黙る彼女の手を握り結城はベッドへと促した。

リモコンで照明がおとされたベッドでは隣にいる彼の存在が意識されるようだ。
『君は危なっかしい、
予期せぬ行動でハラハラさせる』

『そんな事結城さん以外に言われない』

『だったら周りの人物は君をわかってはいない。
傘の為に車道へ飛び出す君や今日みたいな行動がそうだ。
バニーガールの格好でホテル街をうろついた時も。
……ハラハラさせる――』
『ハラハラしてくれたの?』

『後ろのファスナーをおろされ胸が見えそうな君は両腕を掴まれたままホテルへいたから尚更ね』

『結城さん…』

『車道へも飛び出すんじゃない、
そして先ほどの事だって落下物がバケツじゃなかったらどうする?』

『結城さんにバケツの水をかぶってほしくなくて――』

結城さん好きです!
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