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《愛撫の先に…》
第4章 《波紋…》
どうしよう…
どうしよう……

『なくした?
大事な預かり物だろっ。
何してたんだよっ。
タクシーなら営業所にかけてみれば?』
呆れたようなイライラした高瀬の口調に電話を終わらせる。


……
課長に怒られ気持ちは余計に降下、長い時間にも思えたが終業までパソコンを打った。

『営業所がわかればナビで向かえるわ』
『ありがと陽子、
でも先輩との約束遅れるよ』
そんな会話をしたのは30分前で彼女はバスに乗り営業所へと向かっていた。

『タクシーにはこれだけでしたが確認をお願いします』
先方からの預かり物はあった。
だが!
それらは、
ぐしゃぐしゃになった書類・つぶれたラム酒のパウンドケーキという状態。
『あっ…』

『ドライバーが言うには、お客さんをおろした後家族連れを乗せた時にクシャッっていう違和感があったらしいんです』
どうやら預かり物の上に気づかすに座られたらしいのだ。
『弁償を…』
『いえ、あたしの不注意です』
申し訳なさから営業所にいる従業員に見送られ、
その会社のタクシーを利用し先方の会社に向かった。『アポイントメント取ってますか?』

受付嬢からの何気ない言葉にも状況が状況な為に怖じけづきそうだ。
つぶれた預かり物を大事そうに抱え菜々美は顔をあげた。
『アポイントメントは取っていませんが緊急の用事なんですっ』
『後日お越しになりますか?急な訪問は…』
『後日じゃダメ…』

15分が経過しアポイントメントすら無理な時間帯になる。
『19時です、
今日はもうお帰り下さい』
菜々美はうつ向き受付から離れた。

トン‥
軽く誰かにぶつかる。
『ごめんなさ…い』

『君か…』
聞き覚えのある声がした。
『結城…さん?』
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