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《愛撫の先に…》
第4章 《波紋…》
菜々美はバッグから中谷のハンカチを差し出すと、
結城は受け取りスーツの内ポケットに入れた。

『俺の前で、そして中谷さんの前で……
素直というべきか君は泣き虫だね』

『あたしの意志じゃなくてあれは…』
デートの度に高瀬さんが女の人と仲良くしてる…
またなの?っていう嫉妬、受け止める感情に諦めもあって彼はこういう人なんだと…――。
だけどまさか出先の仕事中にも「いい女だから」
と口説くなんてっ―――!嫉妬・嫌悪感――。
出先でなんて打ちのめされた感じであたし泣いていた…―――。

『泣いていますよ。
もう一度ハンカチを貸そうか?』
結城は内ポケットからハンカチを出して菜々美に近寄って、
そっと涙を拭き取った。


『Don't Cry菜々美』


あ…――
「泣かないで菜々美」って…――
結城さん?


『すまない…すまない…
俺の予言が曖昧で泣くような恋をさせているんだね?…』
彼は一歩後ずさり彼女へ頭を下げる。

『結城さん謝らないでっ…頭を下げないで…』
きゅっ‥
心の中がざわめく…

彼女は自ら彼の両腕に触れた。

顔をあげた結城はやるせない顔をして菜々美の頬に手を当てた。
『君が泣いてるのに謝らないなんて紳士じゃない』

菜々美の心がまたざわめいた。


『行かないと…』
『どこに?』
『契約です、
近くのホテルで待ち合わせしている』

菜々美の心の中がまたざわめいた。
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