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第5章 《リラックスセラピー》

乱暴された日から１週間、陽子のマンションから出勤する菜々美。

営業に向かう高瀬は時々しか会社にいない為にメールで伝える事になる。
『もう高瀬さんを好きでいる事が無理なんです。
さよならしていい？』
『いいよ』
去るものは追わずの高瀬はそれ以上追及はしなかった。

結城の予言を希望した社員は思いが通じて嬉しそうな声をあげるのも、
日常化しつつあり結城啓輔＝思いは苦労せずとも叶うという図式が女達にあった。

『経理のあの人を狙ってる女がいて焦っちゃて、
結城啓輔と寝た次の日に予言どうりに行動したの〜。今週末彼と旅行なんだ〜』

『あたしも結城啓輔と寝てみようかな〜、
サイト…ある一定期間契約から外されてるってどういう事？』

菜々美はまわりのそんな声に関心を持つ事なく社員食堂へ降りようとしていた。
『菜々美、ご飯行くよ』
『陽子…』
後ろには先ほど結城の予言について喋っていた彼女らがいた。

乱暴された事実は高瀬と陽子しか知らない為に、
浮かない顔をしている菜々美を気にするのは陽子のみになる。

４人揃ってのランチの帰り道、向こうにいた人物に菜々美はハッとした。

サイトに結城の写真を載せていない為に、
彼と寝た女達しか実際の結城啓輔を把握出来ないのだ。

金髪でスーツ…
ここからでもわかるわ…
結城さんだと…

『陽子違う道を歩こう』
菜々美は陽子の腕に手をあてた。

『きゃ〜、結城さんよ〜』彼と寝た女が向こうで騒いでいた。

その言葉が合図かのように唯一交渉希望だった相沢が駆け出してく。
『相沢？』

その相沢は結城の側に行き群がる女達をかき分け、
彼と話をしていた。

『予約なしでも今夜あたしと寝てくださいっ』
勢いで言った相沢に結城は苦笑する。

『予約は入れていただかないと困りますね』
『あたし予言が欲しいんですっっ』

『彼の容姿は？』
『メガネをかけていて髪は短くて、穏やかな人』
『わかりました』

結城は相沢の肩に腕をまわし人気のない場所へ向かいキスをした。

『彼は意外とアクション物が好きで語り合いたい人を求めています。
振り向かせるなら今公開中の映画に誘ってみてください』

陽子らに嬉しそうに手を振る相沢に結城は視線を向けた。

『君…』
陽子に隠れるように見ていた菜々美へ結城が呟いた。