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夜想曲~瑠璃色の奇跡~
第4章 其の一ー4・隠れ別荘~別荘との出会い~


夏目先生は既に有名"吾が輩ハ猫デアル"

皆が知ってる有名な小説、それを幾に様々な作品を出し文壇では名を知らない人は居ないくらいの有名人

でも本当は素朴で新しい物好きなのも知っている・・・

日差しが入る部屋‥その日溜まりの中、先生の膝枕に優しい手‥最近の私の一番のお気に入り

先生も嫌とは言わない、何時も別荘に来ると私を呼んでこうして膝枕をしながら原稿用紙に向かってる‥ひと時の穏やかな時間


「くすくす…
本当は反対なのに‥膝枕をするのは私の方…」

「偶には良いんじゃないかね、蒼に膝枕をするのは私は好きだが‥私の方が安心する」

「そう‥言ってくれる人が私にもまだ居たのね…」

「おいおい…
若いのだからまだ此から幾らでもある‥違うかい?」

先生の言葉は‥あの人に似てる、この温もりも穏やかな気も…

「・・・そうね…
でも先生の温もりが好き、そのペンの痕の残った手が好き
ずっと書き物ばかりしている手が好きなの…」

「変わってるね、タコだらけの手が好きなんて……」

「昔‥同じような手の人が居たの‥何時も机に向かってペンを走らせて…
だから手もペンの痕だらけ、だけど優しい手
だけど私の前から居なくなってしまった、二度と手の届かない場所に逝ってしまった」

「・・・亡くなったのかい?」

「ええ‥随分前に‥それからずっと1人ぽっち…
私に言い寄って来る男性は居たけど、私を安心させてくれる男性は居なかった‥身も心も安心させてくれる人、思えば私は探していたのかもしれない」

誰なんて言えない、言ってはいけない‥もう過去の人なのだから……


「‥私は似ているのかい、その人に??」

「・・・似てるのかしら?
ペンの痕に木刀の痕‥でも安心させてくれる、こんな私を大切にしてくれた…
・・・そうね‥夏目先生は似ているわ、でも似てるから先生に付いて来た訳ではないわ」

「では、どうして付いて来たのかね??」

「私の‥意志よ……
先生は初めから、こういう場所だと教えてくれた、でも此処に来ようと思ったのは私の意志、行く当ても無かった私の・・・」

話を聞いて渡りに船だと思った、隠れるならば知らない所へ‥そして数多の男性が通り抜ける場所に……
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