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夜想曲~瑠璃色の奇跡~
第4章 其の一ー4・隠れ別荘~別荘との出会い~


「・・・・・ん・・・・・」


眠っていた‥先生の膝枕で…

先生の温もりは好き、昔居たあの人を思い起こされる・・・

「目が覚めたのかい蒼…」

「ええ…
でも‥まだ眠っていたい気分だわ」

「構わないよ、普段は疲れているだろうしね…」

「そんな事無いわ…
私は此処に居れるだけで十分だもの……」

先生はこの別荘に長く居るのが好き、時には半月くらい此処に止まってくれる

「しかしこの別荘では…」

「知っていて私を拾ってくれたのは夏目先生よ?
当てもなくフラフラしてた私を拾ってくれた…」

文机で書き物をしていた先生のの手が止まる、その手は私の髪を撫でてくれる‥優しい仕草で…

「毎日あの洋食屋に珈琲だけを飲みに来て、飲み終わったら消えてしまう…
初めは不思議に思ったものだ」

「くすっ…
あの店の珈琲が好きだったの、まさか夏目先生の馴染みの店だとは思わなくって、声を掛けられた時は吃驚したわ…
それも有名な夏目先生だったんですもの…」

「不思議と声を掛けたくなってね、声を掛けたは良いが私もどうしていいか困ったよ
それに‥逃げたいなんて言うなんて……」

そう‥あの時私はまた1人だった、戦争に走る皆から離れて1人東京の街をさ迷っていた

そして束の間の安息の場所だったのが夏目先生行き着けの洋食屋、偶然入ったのだが拘りの珈琲が美味しくて何度も通った

そこで声を掛けられた‥だから私は"逃げたい"と答えた、皆から戦争から……


「‥此処しか思い付かなくてね、不自由していないかい?」

「いいえ…
先生達は私に優しくしてくれるもの…」

髪を撫でられる手が気持ち良い、先生の膝枕で先生に撫でられるのは好き…

「だが此処は‥この場所は‥連れて来た私が言うのは筋じゃ無いが、決して綺麗な場所じゃ無い」

「そうね‥男性の欲そのままに‥でも心は不思議なくらい安心しているわ
ずっと此処に隠れていたい、外の世界はイヤ‥否応無しに世の情勢に巻き込まれる、男性でも女性でも……」

「蒼は外で辛い思いをしたんだろう、こんな場所が良いなど‥そういう私も此処が好きだが、何も考えずに執筆活動が出来る」


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