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贖罪の檻。
第18章 動き出す事件
懐かしく思うのは、兄と過ごしてきた日々。しかしそれは、あっと言う間に奪われた。
そしてこの檻から逃げ出せない。
正しい判断さえも奪われていく。
《 《
事件発生から3瞬間。
状況証拠のみで容疑者・明莉<アカリ ヨシミ>良巳は、早々に送検された。初日に全てを否認しその後は、黙秘を決め込んでしまった彼の印象はすこぶる悪く不利であった。
殺害された被害者の傍で凶器を手にしていたことは、誰がどう見て考えても〝犯人〟という印象を与えていた。
「ずいぶんと若い、国選だな。」
「依頼人の為に私は、頑張るだけです。」
日本有数の大企業の会長相手でも怯<ヒル>むわけには、いかない。
「いい目をしているな。さて・・・担当弁護士の君を呼んだのは、他でもない。事件について意見交換をしたと思ってね。」
自分に物怖じもせず言葉を返してくる若者を頼もしく思いながら話しを切り出した。