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贖罪の檻。
第25章 かいま見えた光
見上げれば灰色の空。
夢の中では、青空。
どこにも行けないこの身の上には、見えない雨が降り注ぐ。
《 《
「単刀直入、だね。」
出迎えた少女の第一声に思わず笑ってしまった。
「お客さまのご希望をお訊かせ下さい。」
「頑なだね。俺の声・・・訊こえてる?」
少女の抑揚もない機械的な声と態度に戸惑いながらも中に入れた。
「えーっと。お茶、でも飲む?」
兄と会長に〝是非に〟と乞われてやって来のだが少女の想像以上の頑なさに驚いていた。そしてどう話しを切り出したらいいものかと・・・悩ましくなってしまった。
「お客さま。どんなことをご所望ですか?」
「とりあえず、お茶を・・・飲みたいな。どう?」
「お客さまがお望みなら。」
もう〝なににも〟惑わされまいと心を閉ざすことに決めていた。