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危険な香りに誘われて
第6章 男の嘘
賢也は、生徒には、手を出さないときっぱり言いきった。目は、真剣そのもの。
白か黒かと聞かれたら、多分白だと、真紀は思った。

「何で電話番号知ってるの」

「生徒には、教えるよ。結構な人数の生徒とLINEやってるぞ。受験生は、色々悩んでることもあるしな、俺で相談乗れることは、聞いてやるって言ってるから」

「学校の先生みたいだね」

「なりたかった職業だったからな」

真紀は、驚いた。教師を目指していたことがあったのか。

「先生になりたかったの」

「ああ。色々あって、なれなかったけどな」

「問題多そうな先生になりそう」

頭の中で、賢也の教師姿を想像して。真紀は、クスッと笑いを漏らした。

「どういう意味だよ」

「保護者に手を出す?とか」

「しばくぞ」

賢也は、真紀の肩に自分の顎を乗せた。

「昨日は、雨が降りそうだったから駅まで乗せたんだよ。信じてくれ」

「何で隠そうとしたの?」

「どうやって説明すんだよ。雨が降りそうだったから女の子を乗せたなんて言って、信じるか?疑われるようなこと言いたくないだろ?」

「本当にそれだけ?」

「あのな、面倒な相手には、手を出さないぞ。一回やっただけで恋人気分になるタイプとか、ただのセフレなのに自分だけは、特別だと勘違いする女とか」

「へぇ。私も誰かさんに面倒クサイ女って言われた気がするんですけど?私は、セフレなのに特別だと勘違いしている女なんですかね?」

嫌味っぽく言うと、賢也は、不機嫌な顔をする。
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