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危険な香りに誘われて
第7章 女の嘘
真っ直ぐ歩けないほど、人が溢れる駅構内。真紀は、帰りを急いだ。
改札口を通過しようとした時。
「岸本さん」
聞き覚えのある声に振り返ると営業の原田が、笑顔で手を上げた。
真紀より二つ年上、所属する課のチームリーダーでもある原田は、いたって普通の容姿だが、気さくな性格で話しやすいと評判もいい。
「あれ、どうしたんですか?」
「東京出張の帰り。今から水野さんの送別会に参加しようと思って」
「あ、そうなんですか。いつものスナック貸し切りにしていますよ」
「岸本さんは、行かないの?」
「一次会だけで抜けてきました。二次会参加すると、いつ解放されるかわかりませんから」
原田は、口に拳を当て、クックッと笑い肩をゆすった。
「確かにね。あの人達、すごく飲むしね」
「はい」
原田は、腕時計をチラッと見た。
「あのさ、抜け出してきたところ悪いんだけど、ちょっとだけ俺に付き合ってくれない?」
「どこに?」
「腹減ってて、軽く入れて行きたいんだよ。腹ペコで、参加したら、酔い潰れそうだろ」
駅の時計の針は、9時15分を指している。
賢也が、帰るまで、まだ少し時間がある。少しくらいなら、いいか。
真紀は、30分だけと言って原田の誘いを承諾した。
改札口を通過しようとした時。
「岸本さん」
聞き覚えのある声に振り返ると営業の原田が、笑顔で手を上げた。
真紀より二つ年上、所属する課のチームリーダーでもある原田は、いたって普通の容姿だが、気さくな性格で話しやすいと評判もいい。
「あれ、どうしたんですか?」
「東京出張の帰り。今から水野さんの送別会に参加しようと思って」
「あ、そうなんですか。いつものスナック貸し切りにしていますよ」
「岸本さんは、行かないの?」
「一次会だけで抜けてきました。二次会参加すると、いつ解放されるかわかりませんから」
原田は、口に拳を当て、クックッと笑い肩をゆすった。
「確かにね。あの人達、すごく飲むしね」
「はい」
原田は、腕時計をチラッと見た。
「あのさ、抜け出してきたところ悪いんだけど、ちょっとだけ俺に付き合ってくれない?」
「どこに?」
「腹減ってて、軽く入れて行きたいんだよ。腹ペコで、参加したら、酔い潰れそうだろ」
駅の時計の針は、9時15分を指している。
賢也が、帰るまで、まだ少し時間がある。少しくらいなら、いいか。
真紀は、30分だけと言って原田の誘いを承諾した。