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危険な香りに誘われて
第7章 女の嘘
金曜日の夜ということもあって街は、賑やかだ。どこから集まってきたのかと思うほど人が溢れている。
駅からさほど遠くない鉄鍋餃子店のドアを開けた。

「出張帰りなのに飲み会参加するなんてハードですね」

「そうなんだけど、水野さんの送別会だろ。参加しないとマズイし。他の日の送別会は、平日だったから翌日休みの日に参加した方がマシかなって」

この辺りでは、結構美味いと評判の店で、予約しないと入れない日もあるほどの人気店。
丁度帰る客と入れ違い、待たずにテーブルへ案内された。

「生二つと餃子3人前」

愛想の良い、若いアルバイト店員が、ビールと一緒に枝豆をテーブルに置く。

「お疲れ様」

生ビールで乾杯。原田は、からからの喉に潤いを与えようと、一気にビールを飲んだ。

「あー、美味い。喉乾いてたんだ。どんだけ、新幹線で飲んだろかと思っていたか。でも缶ビールじゃ寂しいしさ」

すかさず、2杯目の生ビールを注文。店員の元気な声が店内に響く。

「大変ですね。日帰り出張」

「でも、岸本さんと会えたし、ラッキーだよ」

「一緒にご飯食べる人が出来たからですか?」

熱々の鉄板に並んだ餃子が、運ばれてきた。テーブルの上で、まだジュージューと音を立てている。

「頂きます」

二人は、割り箸を手に一つずつ餃子をつまんだ。
ジューシーな肉汁が溢れんばかりに口の中に広がる。

「美味い。腹ペコだったから、ビールも餃子もしみるなーっ」

原田は、額にシワを寄せ、絶賛しながらもう一つ、口に運んだ。



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