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危険な香りに誘われて
第7章 女の嘘
「はーっ、ようやくちょっと、腹が落ちついたな」

原田は、ポケットから煙草を取り出すと火をつけた。
ゆっくりと味わうように吸いこむと、横に顔を向け、ふーっと煙を吐いた。

「タバコ、やめようと思うんだけど、なかなかやめられないんだよな」

「吸うところも制限されてますもんね」

「そうなんだよ。うちの会社なんて、駐車場の出入り口の端っこだけだもんな」

「前は、喫煙室みたいなところがあったんですよね?」

「うん。でも、社内喫煙禁止になったからね。勝手な話、新幹線の喫煙車両には、乗りたくないんだよな」

「本当勝手ですね」

クスクス笑う真紀を見て、原田は、釣られるように笑った。

「ところで、話は、全然かわるんだけど、岸本さんは、社内恋愛について、どう思う?」

「社内恋愛ですか?」

原田の手が真紀の手に重なった。

「えっ、あの」

何をされているか脳が、理解するまでに数秒掛かった。真紀は、慌てて手を引っ込めた。

「俺と社内恋愛する気ない?」

「冗談ばっかり。離してください。ビール2杯で酔っちゃったんですか?」

「本気なんだけど」


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