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危険な香りに誘われて
第7章 女の嘘
ギューッと抱き締めて、クンクンと匂いを嗅いでいる。生きた心地がしない。

「ホント酒臭いしタバコ臭いし、男の香水の匂いも入り混じってる」

変な緊張感が走った。賢也は、鼻が利く。
心臓は、バクバクしていたが、平常心を取り繕う。

「当たり前じゃない。送別会30人中、男の人が20人いるんだよ」

「だな。なんか癒されないから風呂入ってこい」

「うん、入ってくる」


原田に触られた手をゴシゴシと赤くなるまで擦った。
賢也を裏切ったみたいで、すごく嫌な気分だ。
言い寄られたのは、隙があったから。

なんで、簡単にご飯なんて食べちゃったんだろう。
真紀は、自分の行動を後悔しながら湯船に鼻先まで沈めた。

もう絶対、触られたりしないから。



ごめん、賢也。
私も。
嘘つきだ。



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