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危険な香りに誘われて
第1章 微光
ドアが開き、冷たい空気が入り込んだ。一気に車内が、冷える。
「事故ったの?」
ドアを閉めてくれと言いたいくらい寒い。股間が縮こまるほど外は、冷たい風が吹いている。
「大丈夫?」
よく見ると、天使ではなく、白いマフラーを何重にも巻いた女子高校生だった。
寒さのせいか、頬は真っ赤だ。白い息を吐いている。触れたら、消えてしまいそうなほどの透明感。清純で、まだ何色にも染まっていない。
ど田舎に、こんな可愛い女がいるなんて、侮れないな。
賢也は、見ず知らずの天使のような女子高校生を抱き締めて、温めてくれと懇願したくなった。
ふわりと甘い香りがした。なんの匂いかわからない。ただ、ずっとその匂いに浸っていたいと思うほど、心地良く感じた。
「動けないの?」
「ああ、足を折っちまったらしい。携帯も繋がらないし、誰か呼んできてくれると助かるんだけど、頼めるか」
「うん」
賢也は、ほっとした。とりあえず、助かった。
柔らかく冷たい何かが、手を包む。視線を落とすと高校生が、両手で賢也の手を握りしめていた。
胸の奥が、熱くて火傷しそうだ。
「待っていてね」
「ああ、頼む」
自分のマフラーを外し、賢也の首に巻きつけると、そっとドアを閉めた。
自転車に跨りペダルに足を掛けると、振り返った。
「すぐだからっ、もう少し頑張って」
白襟のセーラーをはためかせて遠ざかる少女を見て、賢也は、天使が飛んでいったような気がした。
「事故ったの?」
ドアを閉めてくれと言いたいくらい寒い。股間が縮こまるほど外は、冷たい風が吹いている。
「大丈夫?」
よく見ると、天使ではなく、白いマフラーを何重にも巻いた女子高校生だった。
寒さのせいか、頬は真っ赤だ。白い息を吐いている。触れたら、消えてしまいそうなほどの透明感。清純で、まだ何色にも染まっていない。
ど田舎に、こんな可愛い女がいるなんて、侮れないな。
賢也は、見ず知らずの天使のような女子高校生を抱き締めて、温めてくれと懇願したくなった。
ふわりと甘い香りがした。なんの匂いかわからない。ただ、ずっとその匂いに浸っていたいと思うほど、心地良く感じた。
「動けないの?」
「ああ、足を折っちまったらしい。携帯も繋がらないし、誰か呼んできてくれると助かるんだけど、頼めるか」
「うん」
賢也は、ほっとした。とりあえず、助かった。
柔らかく冷たい何かが、手を包む。視線を落とすと高校生が、両手で賢也の手を握りしめていた。
胸の奥が、熱くて火傷しそうだ。
「待っていてね」
「ああ、頼む」
自分のマフラーを外し、賢也の首に巻きつけると、そっとドアを閉めた。
自転車に跨りペダルに足を掛けると、振り返った。
「すぐだからっ、もう少し頑張って」
白襟のセーラーをはためかせて遠ざかる少女を見て、賢也は、天使が飛んでいったような気がした。