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危険な香りに誘われて
第8章 危険な虎
3連休とあって、人が多い。しかも気温も上昇して地上は、暑かった。

「すごい人だね」

「おー、連休だからな」

賢也は、真紀の肩を抱いて反対の手で人ごみをかき分けるように歩く。

守ってもらっているみたいで、真紀は、嬉しくなった。
そっと賢也の背中に手を回してぴったりとくっついてみる。
賢也は、足を止めて、真紀を見下ろした。

「どうした?」

「甘えたくなった」

賢也は、軽く笑って真紀の頭を撫でると、また肩を抱いて歩き出した。

映画上映時間まで、まだ時間がある。二人は、下の階で、お茶をして時間潰しすることに。珈琲豆の香りに誘われて、喫茶店へ入った。

「冷房きいて、涼しいね。寒いくらい」

「ああ。俺、ちょっとトイレ行ってくるわ」

賢也は、立ちあがると真紀の頭をポンと軽く叩き「大人しくしてろよ」と言い残して店の外にあるトイレへ向かった。

注文したミックスジュースを口にしていると。

「真紀ちゃん」

昨日聞いたばかりの声にギョッとした。なんで、こんな所で会うのよ。真紀は、口からミックスジュースを拭き出した。

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