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危険な香りに誘われて
第9章 虎と女帝
中年女は、門ではなく、裏口へ真紀を案内すると、小さな門の扉を開けた。と言っても表の門から比べればだ。自分の実家から考えれば、十分立派だ。
「どうぞ、お上がり下さい。奥様が、お待ちかねです」
賢也の母親では無かったらしい。真紀は、再び緊張した。
案内された部屋の前まで来ると、女は、膝をつく。
「奥様、お見えになりました」
「入ってもらって」
襖の向こうから聞こえる声は、どこか艶っぽい。
女は、静かに襖を開けた。
着物を着た女が、部屋の中央でお茶を点てていた。
化粧も随分と濃いが、美人だ。賢也の母親にしては、少し若い気もする。
妙な迫力と冷たい視線、そして威圧感に真紀は、怖気づいた。
例えて呼ぶなら女帝がピッタリだと思った。
「初めまして、岸本真紀です」
真紀は、正座をして膝元に手を置いて頭を下げた。
「どうぞ」
差し出されたお茶をじっと見つめた。
どうぞと言われても作法を知らない。真紀は、戸惑った。
「まさか、お茶の作法もご存知ないのかしら」
「・・・・すみません」
「全く、賢也さんも何を考えていらっしゃるのかしら。こんな作法も知らない方と、お付き合いされるなんて」
口元に手を当て、嫌味な笑いをする。
息子に恋人が出来たと聞いて、いびる母親。よくある話だ。真紀は、下唇を噛みしめた。
「どうぞ、お上がり下さい。奥様が、お待ちかねです」
賢也の母親では無かったらしい。真紀は、再び緊張した。
案内された部屋の前まで来ると、女は、膝をつく。
「奥様、お見えになりました」
「入ってもらって」
襖の向こうから聞こえる声は、どこか艶っぽい。
女は、静かに襖を開けた。
着物を着た女が、部屋の中央でお茶を点てていた。
化粧も随分と濃いが、美人だ。賢也の母親にしては、少し若い気もする。
妙な迫力と冷たい視線、そして威圧感に真紀は、怖気づいた。
例えて呼ぶなら女帝がピッタリだと思った。
「初めまして、岸本真紀です」
真紀は、正座をして膝元に手を置いて頭を下げた。
「どうぞ」
差し出されたお茶をじっと見つめた。
どうぞと言われても作法を知らない。真紀は、戸惑った。
「まさか、お茶の作法もご存知ないのかしら」
「・・・・すみません」
「全く、賢也さんも何を考えていらっしゃるのかしら。こんな作法も知らない方と、お付き合いされるなんて」
口元に手を当て、嫌味な笑いをする。
息子に恋人が出来たと聞いて、いびる母親。よくある話だ。真紀は、下唇を噛みしめた。