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危険な香りに誘われて
第9章 虎と女帝
「全く、あんな母親から生まれた息子が選ぶ女なんて、所詮こんなものよね」
真紀は、女帝の言葉に耳を疑った。俯いていた顔を上げ、訪ねる。
「あの、失礼ですが、賢也さんのお母様では?」
「まさか、冗談じゃないわ」
それなら何故、女帝は、自分を呼びつけたのか。真紀は、何度も瞬きをして女帝を見据えた。
真意を確かめようとした時、ドタドタと激しい足音が廊下から聞こえ、真紀は、襖の方へ顔を向けた。ガラリと勢いよく障子が開く。
息を切らした賢也が、地獄の底から現れた鬼の形相をして、女帝を睨みつけ屋敷中に響きわたるほど、大きな怒鳴り声をあげた。
「何勝手に連れてきてんだ、このクソババア。ぶっ殺すぞっ」
賢也の姿は、まるで怒り狂った獰猛な虎そのもの。真紀は、恐怖すら感じた。
「あら、もう嗅ぎつけたの。早いわねぇ」
女帝は、何が面白いのか、コロコロと笑っている。
「白鳥から連絡があったんだよ」
賢也は、女帝を睨みつけながら、オロオロする真紀の腕を掴み、立ち上がらせた。
「こんな女の相手なんかしなくていいぞ」
「賢也?」
「随分普通の方を選んだようだけど、大丈夫なの?」
女帝は、賢也を見もせず、首を傾け、結い上げた髪に手を当てた。
「煩せぇっ」
「何も知らない普通のお嬢さんよ。あなたのこと知ったら、怖くて逃げ出すわ」
「黙れっ」
「せっかく、親切に教えてあげようと思ったのに」
「余計なお世話だ」
「お父様は、諦めていないわ」
「だから何だ。俺は、絶対に親父の跡は継がねぇし、そっちの世界に足を突っ込む気もねぇ。何があってもな」
女帝は、口角を上げた。
「どんなに逃げても無駄よ。結局従うのよ」
真紀は、女帝の言葉に耳を疑った。俯いていた顔を上げ、訪ねる。
「あの、失礼ですが、賢也さんのお母様では?」
「まさか、冗談じゃないわ」
それなら何故、女帝は、自分を呼びつけたのか。真紀は、何度も瞬きをして女帝を見据えた。
真意を確かめようとした時、ドタドタと激しい足音が廊下から聞こえ、真紀は、襖の方へ顔を向けた。ガラリと勢いよく障子が開く。
息を切らした賢也が、地獄の底から現れた鬼の形相をして、女帝を睨みつけ屋敷中に響きわたるほど、大きな怒鳴り声をあげた。
「何勝手に連れてきてんだ、このクソババア。ぶっ殺すぞっ」
賢也の姿は、まるで怒り狂った獰猛な虎そのもの。真紀は、恐怖すら感じた。
「あら、もう嗅ぎつけたの。早いわねぇ」
女帝は、何が面白いのか、コロコロと笑っている。
「白鳥から連絡があったんだよ」
賢也は、女帝を睨みつけながら、オロオロする真紀の腕を掴み、立ち上がらせた。
「こんな女の相手なんかしなくていいぞ」
「賢也?」
「随分普通の方を選んだようだけど、大丈夫なの?」
女帝は、賢也を見もせず、首を傾け、結い上げた髪に手を当てた。
「煩せぇっ」
「何も知らない普通のお嬢さんよ。あなたのこと知ったら、怖くて逃げ出すわ」
「黙れっ」
「せっかく、親切に教えてあげようと思ったのに」
「余計なお世話だ」
「お父様は、諦めていないわ」
「だから何だ。俺は、絶対に親父の跡は継がねぇし、そっちの世界に足を突っ込む気もねぇ。何があってもな」
女帝は、口角を上げた。
「どんなに逃げても無駄よ。結局従うのよ」