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危険な香りに誘われて
第9章 虎と女帝
車に乗り込む時、賢也はいつも通り助手席のドアを開けた。
どんなに興奮しても怒っていても、そこは忘れない。もはや、癖か。真紀は、黙ってシートに腰を下ろした。
ピリピリとした空気、賢也の顔つきは、どう見てもいつもと違う。
運転は、大丈夫だろうか。少し不安になった。
「ねぇ、運転しようか」
「お前、運転出来んの?」
「軽しかしたことないけど。でも大丈夫だよ。私の親友は、ダンプだって運転してたし」
「ぷっ、何それ。お前なぁ、友達に美容師がいたらカットも出来ることになるぞ」
賢也の顔に笑みが戻った。
「大丈夫だ。お前に運転させるなんて、自殺行為だろ」
賢也は、手を伸ばして、真紀の頭を撫でた。
「ありがとうな」
賢也を包む空気が変わった。
だが、安心はできない。車の中で、余計な事は聞かないようにしよう。真紀は、優しく微笑んだ。
「替わって欲しかったら、いつでも言って」
真紀の優しい心に触れると、自分の怒りが浄化する。
乾ききった心が、満ち足りていく。俺を救ってくれる女。
「手、繋いでくれ」
賢也が左腕を伸ばすと、真紀は、指を絡めるように手を握った。
あの女、親父は、諦めてないと言っていた。
だとしたら、いつか全てを話さなくてはならない日がくるかもしれない。
やっと見つけのに。
やっと手にいれたのに。
失いたくない・・・・。
どんなに興奮しても怒っていても、そこは忘れない。もはや、癖か。真紀は、黙ってシートに腰を下ろした。
ピリピリとした空気、賢也の顔つきは、どう見てもいつもと違う。
運転は、大丈夫だろうか。少し不安になった。
「ねぇ、運転しようか」
「お前、運転出来んの?」
「軽しかしたことないけど。でも大丈夫だよ。私の親友は、ダンプだって運転してたし」
「ぷっ、何それ。お前なぁ、友達に美容師がいたらカットも出来ることになるぞ」
賢也の顔に笑みが戻った。
「大丈夫だ。お前に運転させるなんて、自殺行為だろ」
賢也は、手を伸ばして、真紀の頭を撫でた。
「ありがとうな」
賢也を包む空気が変わった。
だが、安心はできない。車の中で、余計な事は聞かないようにしよう。真紀は、優しく微笑んだ。
「替わって欲しかったら、いつでも言って」
真紀の優しい心に触れると、自分の怒りが浄化する。
乾ききった心が、満ち足りていく。俺を救ってくれる女。
「手、繋いでくれ」
賢也が左腕を伸ばすと、真紀は、指を絡めるように手を握った。
あの女、親父は、諦めてないと言っていた。
だとしたら、いつか全てを話さなくてはならない日がくるかもしれない。
やっと見つけのに。
やっと手にいれたのに。
失いたくない・・・・。