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危険な香りに誘われて
第10章 やっぱり虎
賢也は、ソファに腰を下ろすと、身を乗りだし真紀の後ろから画面をのぞきこんだ。
虎の生態を解説した文章にさっと目を通すと、賢也は、ニヤニヤしながら真紀を両腕で拘束するように抱き締める。

「チャレンジしろってか」

「そんなこと言ってないって」

「こんな誘い方しなくても、いつでも犯してやんのに」

「誘ってない」

誘惑は、いたるところにある。例えば、この団子頭。白いうなじに掛かった後れ毛。欲情するなと言う方が無理だろう。賢也は、軽く笑って、うなじに舌を這わせた。
所有の証が消えかかっている。唇を押し当て、強く吸った。

「やっ、見えるところは、やだって言ってるのに」

「髪の毛下ろしてたら見えねぇよ」

賢也の歯が首筋に触れ、真紀は、もがいた。

「やっ、だめっ、ホントだめっ」

隠す為に毎日ストールをするなんて、いくら何でも見え見えだ。それでなくても同僚の郁美に、毎日お盛んだね、と嫌味を言われているのに。

「噛んじゃだめ。噛むの禁止っ。噛んだら、賢也とはエッチしないからっ」

「ふぅん」

低い声が耳元に響く。

「しないのか」

まずいことを言ってしまったかも。真紀は、顔をひきつらせた。

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