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危険な香りに誘われて
第10章 やっぱり虎
「どっか行きたい所ないか」

シャワーを済ませた賢也が、おもむろに訪ねた。

「スーパーとか?南友で、ラップの特売してるんだよね」

賢也の眉間に皺が寄る。自分の言い方が悪かったのか。

「そうじゃなくて、ドライブつーか、新車走らせたいんだよ」

「じゃあ、もう少し先のイトーナノカドー。紙祭りしてるの。キッチンペーパーとトイレットペーパー買いたいな」

デリカシーがないと怒るくせに、ドライブにスーパーを選択するお前は、どうなんた。ツッコミたくなる。

「それは、明日でもいいだろ。他に行きたいとか、見たい所ないか」

「見たい所」

真紀は、目を泳がせた。

「それって、デートってこと」

「だったら何だよ」

真紀は、にんまりした。

「じゃあ、虎見に行こう」

「動物園か」

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