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危険な香りに誘われて
第10章 やっぱり虎
二人は、手を繋ぎパーク内を見て回った。
パンダコーナーに行くと、真紀は、目を輝かせて喜んだ。

「可愛い、可愛い」

「パンダって白黒じゃねぇんだ。茶色いんだな」

「白黒だよ。あれは、遊んでるから汚れてるの」

「それに結構デカいんだな」

感心したような口調、真紀は、賢也を見上げた。

「賢也、パンダ初めて見るの?」

「ああ。こんな所、来ねぇからな。生で見るのは、初めて。ははっ、なんか、おもちゃみてぇだな」

子供の頃は、家族で何度となく訪れたパーク。
家族でどこかへ遊びに行く、賢也は、そんな経験ないのかもしれない。子供の頃の賢也を想像するだけで、鼻の奥がツンと痛くなる。

「ずーっと見てても飽きないくらい、可愛いよね」

「じゃあ、閉館までパンダ見てるか?」

「それは、ダメ。今日の目的は、虎だもんっ。ほら、急がなきゃ、全部回れないよ」

真紀は、賢也の手を引っ張ってパンダコーナーから連れだした。

せっかく来たからには、動物たちをもっと間近で見たい。
パーク内には、専用のキャラバンやジープで草​食​・​肉​食​動​物​ゾ​ー​ンを案内するガイドツアーがある。申し込みに行くと、アニマルパトロールの案内を見つけた。聞けば、肉食​獣​を​メ​イ​ン​に​巡​る​ツアーらしい。キャンセルで空きがあると言われ、即答でツアーの申し込みをした。


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