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危険な香りに誘われて
第11章 夜空に咲く花の下で
「なぁ、真紀」

賢也は、指を絡めるように真紀の手を握った。

「何」

「俺のお願いきいてくれん?」

顔をのぞき込む賢也に、真紀はしかめ面して見せた。

「ここでエッチするとか言わないでよ」

「俺は、そんな趣味ねぇぞ」

フランクフルト最後の一口をパクリ、もぐもぐする真紀を見て、賢也が半笑いした。

「お前・・・・ホント色気ねぇな」

賢也は、軽くため息をついて、自分の頬をポリッと指でかいた。

「きくって言ってくれたら言う」

「なんじゃ、そりゃ」

ハハハと笑っている真紀を賢也は、抱きよせ耳元で呟いた。

「俺の願い、叶えるって言えよ」

「それ、もうお願いじゃないし」

耳に賢也の息がかかる。こそばゆいよ。真紀は、肩を竦めた。

「俺と結婚してくれ」

花火が夜空でパーンッと弾ける音と共に、真紀の心も弾けた。信じられないと言わんばかりに目をパチクリさせている。やがて、真紀の目に涙が滲む。
胸がキューッと締め付けられてポロッと涙がこぼれた。

「何で、泣くんだよ」

「だって・・・・嬉しいから」

鼻水ずるずるさせながら顔を上げると、賢也が、いつになく不安な顔をしていた。

「真紀、返事は?」

「よろしくお願いします」

この夜、川沿いの土手で、花火に負けない二人の笑顔が咲いた。

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