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危険な香りに誘われて
第11章 夜空に咲く花の下で
真紀の実家は、同じ大阪と思えないほど、自然が多く残っている。
山と海に囲まれ、田んぼや畑をあちこちで見る事が出来た。

「相変わらず、すげぇ、ど田舎だよな」

ハンドルを握りながら、賢也は、懐かしい気持ちになった。

「うん。でもいい所だよ。クワガタとかカブトムシもいるし、空気だって、美味しいし、海や山もあって・・・・」

真紀は、ふと賢也の顔を見て、首を傾げた。

「賢也、来たことがあるの?」

「ああ、まぁな」

サングラスの下で、賢也は目を細めた。

「ふーん。どうせ、引っかけた女の子を送ったとか、そんなんでしょう」

「おー、よく分かったな」

パチン。真紀が、賢也の肩にパンチすると、賢也は、わざとハンドルから両手を離した。車が左右に揺れ真紀は慌てて、シートベルトを掴む。

「ひっ」

「ハンドル持ってんだぞ。危ないって」

「ごめん。あっ、見えてきた。うちの実家、あそこ」

岸本畳店の看板が、真紀の指差す方向に見えた。平屋の家、隣が店舗になっている。下ろしたシャッターには、日曜定休日とペイントされている。賢也は、店の駐車場、軽トラックの隣にスカイラインを止めた。
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