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危険な香りに誘われて
第11章 夜空に咲く花の下で
「で、出来たのかっ」

焦ったような口調。

「困る?」

「えっ・・・・」

賢也は、一瞬黙り込んだ。プロポーズしたのは、昨夜。入籍もしていない。子供なんて、まだ先だと思っていた。真紀が、自分の子供を産む。そう思うと、嬉しさが、込み上げてきた。

「困る訳ねぇだろ。俺たち、結婚すんだぞ。いつ生まれるんだ」

「んー、何年後だろ」

「は?」

真紀が、ニッと笑う。賢也は、ハッとした。はめられた?腕を真紀の首に巻き、自分の額を真紀の頭に押しつけ、ぐりぐりする。ピルを服用しているのに、妊娠する確率は極めて低い。

「痛い、痛い」

「てめぇ、出来てから言えっ」

「ごめん、ごめん。でも、結婚したら、ピル止めていい?」

「あほ。当たり前だろ」

真紀は、嬉しくなって、賢也の腰に腕を回した。

「男の子が欲しいな。賢也にそっくりなの」

「俺に似たら、手を焼くぞ」

「大丈夫。負けないから」

賢也は、胸の奥が熱くなった。真紀と結婚して普通の家庭を持つ。こいつとなら、それが出来る。

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