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危険な香りに誘われて
第12章 皇帝
「入りなさい」
低い声を聞いて、真紀は、怯えた。取って食われるんじゃないだろうか。
「失礼します」
どうにか、堪えて頭を下げ、中へ足を踏み入れる。
「お食事、お運びして宜しいですか?」
「もう一人、30分もせんうちに来るはずだ。それからにしてくれ」
女将が立ち去り、二人っきりになると、更に緊張感が増す。賢也の父親だから、愛想良くしたいのに、あまりの怖さに表情は、硬くなる一方だ。
「青い顔をして、随分、緊張しているみたいだな」
「いえ。・・・・はい、しています」
怖い。声も震えてしまう。賢也、早く来て。真紀は、心の中で祈った。
見るからに、賢也の父親は、自分を気に入っていない。賢也の実家は、どう見ても金持ちだ。賢也に相応しくないと思っているのかもしれない。
「ふん。正直だな」
皇帝は、御膳の酒を手酌する。
「まあ、飲め」
真紀に酒を勧めた。断ることも出来ず、真紀は、両手でグラスを受け取った。
辛口の酒が、胃を熱くする。
「あれの扱いは、大変だろう」
「あれ?賢也さんのことですか」
「他に誰がいる。あれと同じで、君も頭が悪いようだな」
賢也をバカにしているのだろうか。しかも、あれ呼ばわり。真紀は、皇帝を睨みつけた。
「くだらない商売に手を出して満足している振りをする。何が面白いのか、お前のような女と、ままごとをして喜んでいる。己の本性をいつまで隠し続けるつもりか」
低い声を聞いて、真紀は、怯えた。取って食われるんじゃないだろうか。
「失礼します」
どうにか、堪えて頭を下げ、中へ足を踏み入れる。
「お食事、お運びして宜しいですか?」
「もう一人、30分もせんうちに来るはずだ。それからにしてくれ」
女将が立ち去り、二人っきりになると、更に緊張感が増す。賢也の父親だから、愛想良くしたいのに、あまりの怖さに表情は、硬くなる一方だ。
「青い顔をして、随分、緊張しているみたいだな」
「いえ。・・・・はい、しています」
怖い。声も震えてしまう。賢也、早く来て。真紀は、心の中で祈った。
見るからに、賢也の父親は、自分を気に入っていない。賢也の実家は、どう見ても金持ちだ。賢也に相応しくないと思っているのかもしれない。
「ふん。正直だな」
皇帝は、御膳の酒を手酌する。
「まあ、飲め」
真紀に酒を勧めた。断ることも出来ず、真紀は、両手でグラスを受け取った。
辛口の酒が、胃を熱くする。
「あれの扱いは、大変だろう」
「あれ?賢也さんのことですか」
「他に誰がいる。あれと同じで、君も頭が悪いようだな」
賢也をバカにしているのだろうか。しかも、あれ呼ばわり。真紀は、皇帝を睨みつけた。
「くだらない商売に手を出して満足している振りをする。何が面白いのか、お前のような女と、ままごとをして喜んでいる。己の本性をいつまで隠し続けるつもりか」