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危険な香りに誘われて
第2章 7年後
「真紀、ビールもう一本いるー?」
「うん、頂戴」
キッチンから明るい声が響く。
あんな事があった翌日。真紀は、親友、千佐子の家にお昼ご飯を招待されていた。
お好み焼きのいい匂いが、家中に広がっている。
久々のビールも美味しい。
真紀は、もうすっかり立ち直っていた。そこまで、修平に惚れていた訳でも、溺れていた訳でもない。むしろ、ゲイを貫くなら応援してやりたいと思う。
「真紀、お好み焼きひっくり返して」
キッチンからの指令に従うべく、大ゴテを二本掴んだ。
「うん」
ポンとお好み焼きをひっくり返すと豚バラが良い感じに焦げて、香ばしい匂いを放っている。美味しそう。
「真紀ちゃん、この前は、ありがとう」
真紀の向かいに座っている千佐子の夫、真理が、ビール瓶を差し出した。すかさずコップを傾けると細かい泡を立てるように、注いでくれた。
「こちらこそ、ハワイに招待してもらって。ありがとうございました」
真理は、とある建設関連企業の経営者を父親に持つ、御曹司。本人もその会社に勤めている。
ダンプカーの運転手をしていた千佐子と、いずれ会社の社長となる真理が、運命の赤い糸で結ばれて入籍したのは、去年の秋のことだ。
年末の休暇を利用して、新婚旅行先に親しい人を招待、船上で人前式をした。
海外の船上結婚式なんて、贅沢なことは言わない。
小さな教会。
真っ白いウエディングドレス。父親とバージンロードを歩く。
神父の前で、永遠の愛を誓って。
幸せな家庭を築く。
そんな日が、訪れるのは、いつになるのだろうか。
ふと、ある男の顔が浮かんだ。
真紀は、眉間にシワを寄せ、小さく被りを振った。
何で?
ありえないって。
「うん、頂戴」
キッチンから明るい声が響く。
あんな事があった翌日。真紀は、親友、千佐子の家にお昼ご飯を招待されていた。
お好み焼きのいい匂いが、家中に広がっている。
久々のビールも美味しい。
真紀は、もうすっかり立ち直っていた。そこまで、修平に惚れていた訳でも、溺れていた訳でもない。むしろ、ゲイを貫くなら応援してやりたいと思う。
「真紀、お好み焼きひっくり返して」
キッチンからの指令に従うべく、大ゴテを二本掴んだ。
「うん」
ポンとお好み焼きをひっくり返すと豚バラが良い感じに焦げて、香ばしい匂いを放っている。美味しそう。
「真紀ちゃん、この前は、ありがとう」
真紀の向かいに座っている千佐子の夫、真理が、ビール瓶を差し出した。すかさずコップを傾けると細かい泡を立てるように、注いでくれた。
「こちらこそ、ハワイに招待してもらって。ありがとうございました」
真理は、とある建設関連企業の経営者を父親に持つ、御曹司。本人もその会社に勤めている。
ダンプカーの運転手をしていた千佐子と、いずれ会社の社長となる真理が、運命の赤い糸で結ばれて入籍したのは、去年の秋のことだ。
年末の休暇を利用して、新婚旅行先に親しい人を招待、船上で人前式をした。
海外の船上結婚式なんて、贅沢なことは言わない。
小さな教会。
真っ白いウエディングドレス。父親とバージンロードを歩く。
神父の前で、永遠の愛を誓って。
幸せな家庭を築く。
そんな日が、訪れるのは、いつになるのだろうか。
ふと、ある男の顔が浮かんだ。
真紀は、眉間にシワを寄せ、小さく被りを振った。
何で?
ありえないって。