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危険な香りに誘われて
第13章 陽の当たらない世界
鮨屋とクラブで接待した客を乗せた車を見送っていると、黒いレクサスが一台、店の前に止まった。
運転席から降りてきた白鳥が、後部座席のドアを開けた。
親父を迎えにきたのか。賢也は、腕にはめた時計に視線を落とした。まだ、11時。今から帰れば、少しは、真紀を構ってやれる。このところ、寝顔ばかり拝んでいたからな。朝の見送りで見せた真紀の寂しそうな顔を見て、賢也は、胸を痛めていた。
「お前らで、あと2、3軒、金落として来い」
クソ親父。テメェだけ帰んのかっ。心の中で悪態をつきながら、賢也は父親を見送った。
残されたのは、広川と広川の兄弟分で元本部にいた男、吉田。
同じ時期に本部で部屋住みをしていた事もあって、二人の付き合いは、長い。顔が厳つく、恰幅の良い二人が並ぶ様を見て、金剛力士と呼ぶ者も少なくない。
「やれやれ、今夜も残業か」
吉田がぼやくと、広川が笑った。
「年寄りは、もう寝る時間てか?」
「あほ抜かせ。俺は、まだ40だぞ。あそこがビンビンし過ぎて困るくらいだ」
「だったら、今夜は、お洒落クラブにするか」
「お、いいね」
運転席から降りてきた白鳥が、後部座席のドアを開けた。
親父を迎えにきたのか。賢也は、腕にはめた時計に視線を落とした。まだ、11時。今から帰れば、少しは、真紀を構ってやれる。このところ、寝顔ばかり拝んでいたからな。朝の見送りで見せた真紀の寂しそうな顔を見て、賢也は、胸を痛めていた。
「お前らで、あと2、3軒、金落として来い」
クソ親父。テメェだけ帰んのかっ。心の中で悪態をつきながら、賢也は父親を見送った。
残されたのは、広川と広川の兄弟分で元本部にいた男、吉田。
同じ時期に本部で部屋住みをしていた事もあって、二人の付き合いは、長い。顔が厳つく、恰幅の良い二人が並ぶ様を見て、金剛力士と呼ぶ者も少なくない。
「やれやれ、今夜も残業か」
吉田がぼやくと、広川が笑った。
「年寄りは、もう寝る時間てか?」
「あほ抜かせ。俺は、まだ40だぞ。あそこがビンビンし過ぎて困るくらいだ」
「だったら、今夜は、お洒落クラブにするか」
「お、いいね」